お風呂のバリアフリーリフォームで失敗しない7つのポイント

お風呂のバリアフリーリフォーム
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お風呂は毎日使う大切な空間ですが、年齢を重ねるにつれて安全性への配慮が必要になってきますよね。転倒やヒートショックなどの事故が多く発生する浴室だからこそ、バリアフリーリフォームは重要な投資といえるでしょう。

今回は、リフォームのプロとして数多くの浴室バリアフリー工事を手がけてきた経験から、失敗しないための7つのポイントをお伝えします。安全で快適なお風呂にするために、ぜひ参考にしてくださいね。

なぜお風呂のバリアフリーリフォームが必要なのか

浴室は住宅の中でも特に事故が多い場所です。濡れた床での転倒、浴槽への出入り時の転落、そして急激な温度変化によるヒートショックなど、様々な危険が潜んでいます。

高齢者や体が不自由な方にとって、段差や滑りやすい床は大きな障害となります。また、これらの問題は突然やってくるものではなく、年齢とともに徐々に顕在化してくるものです。

バリアフリーリフォームは、現在の不便さを解消するだけでなく、将来の安全性を確保する重要な取り組みなんですね。早めの対策で、長く安心して入浴を楽しめる環境を整えましょう。

出入口の段差を適切に調整する

お風呂のバリアフリー化で最も重要なポイントの一つが、出入口の段差解消です。脱衣所と浴室の間にある段差は、つまずきや転倒の大きな原因となります。

理想的な段差の高さ

段差の高さは2cm以下にすることが推奨されています。本来であればフラットにするのが理想的ですが、浴室から脱衣所への水漏れを完全に防ぐのは困難なため、最低限の段差は必要になります。

水漏れ対策との両立

段差を小さくする際に注意が必要なのが、脱衣所側への水漏れです。浴室の床は排水を促すために緩やかに傾斜していますが、段差が全くないと浴室のお湯が脱衣所側に逆流する恐れがあります。

特に在来工法のお風呂で段差解消を行う場合は、シャワーや浴槽、排水口の位置をよく確認し、適切な防水対策を講じることが大切ですね。

間口の拡張

出入口が狭いと、車いすでの移動や介助が困難になります。間口を広くするためには、中折れドアや引き戸がおすすめです。軽い力でも開閉できるタイプにすれば、高齢者でも出入りがしやすくなります。

手すりを適切な位置に設置する

手すりは、立ったり座ったり、移動したりするときに身体を支えてくれる重要な設備です。ただし、どこに設置するかによって効果が大きく変わるため、慎重に位置を決める必要があります。

設置すべき場所

入浴時に手すりが役立つタイミングは以下の通りです。

  • 浴室への出入り
  • 洗い場での移動
  • 浴槽への出入り
  • 浴槽での立ち座り
  • 洗い場(イス)での立ち座り

浴室への出入り口の壁に設置すれば出入りする際の転倒防止になりますし、洗い場の横に設置すれば、立ち座りなどの動作の補助になります。

高さと素材の選び方

設置する高さは、利用者の身長や動作などにより異なるため、実際に使用される方の体に合わせて調整することが重要です。また、濡れた手でも滑りにくい素材を選ぶことで、より安全性が向上します。

滑りにくい床材を選ぶ

浴室での転倒事故を防ぐためには、床材選びが非常に重要です。特に古い浴室の床材は、濡れると滑りやすいものが多いため、安全性の高い床材への交換を検討しましょう。

求められる機能

理想的な浴室床材には、以下の機能が求められます。

  • 防滑性(滑りにくさ)
  • 水はけ性
  • 断熱性
  • 衝撃吸収性

最近では、「滑り止め加工」「水はけ加工」などが施されている床材が増えており、安全性と快適性を両立した商品が多数販売されています。

施工事例から見る効果

実際の施工事例では、既存のタイル床の上に、滑りにくい床材(バスナフローレなど)を設置することで、段差も軽減し、入浴時の安全性が向上した例があります。このような部分的なリフォームでも、大きな安全性向上が期待できるんですね。

浴槽の高さを最適化する

浴槽の高さは、安全で快適な入浴のために重要な要素です。高すぎても低すぎても動作に負担をかけるため、適切な高さに調整することが大切です。

理想的な浴槽の高さ

浴槽の縁の高さは、30~40cm程度が理想とされています。この高さであれば、無理なく浴槽をまたぐことができ、転倒リスクを軽減できます。

その他の工夫

浴槽の高さ調整以外にも、以下のような工夫が効果的です。

  • 腰が掛けられるように浴槽の縁を広くする
  • 浅くても十分お湯につかれるよう浴槽に傾斜をつける
  • 浴槽の1/3程度を床に埋め込んだ「半埋め込み式」にする

これらの工夫により、出入りが楽になり安全性も高くなります。ただし、浴槽のリフォームは5~150万円と幅が広いため、予算に合わせて何を優先するか検討することが重要ですね。

浴室暖房機でヒートショック対策

ヒートショックは、急激な温度変化により血圧が大きく変動することで起こる健康被害です。浴室と脱衣所の温度差を小さくすることで、このリスクを大幅に軽減できます。

効果的な暖房設備

ヒートショック対策として以下の設備が有効です。

  • 脱衣所:エアコンや床暖房などの暖房機器
  • 浴室:暖房機能のある浴室乾燥機

浴室暖房機は、入浴前に浴室を温めることで、脱衣所との温度差を少なくできます。また、浴室乾燥機としても使用できるため、カビの発生防止にも効果的です。

冬場の入浴時には特に注意が必要で、事前に浴室を温めておくことで、安全で快適な入浴が可能になります。

扉を安全で使いやすいタイプに変更

浴室の扉も、バリアフリー化において重要な要素の一つです。安全性と使いやすさを両立した扉に変更することで、日々の入浴がより快適になります。

推奨される扉のタイプ

バリアフリーに適した扉は以下の通りです。

  • 引き戸
  • 中折れドア(折れ戸)

これらの扉には、以下のメリットがあります。

  • 浴室内で転倒した家族や介護を要する家族の救助がしやすい
  • 出入り口のスペースを広く確保できる
  • 車椅子の補助が非常に楽になる
  • 軽い力でも開閉できる

ガラス素材への配慮

扉に使用するガラスは、割れにくい素材(強化ガラスや合わせガラスなど)を選ぶことをおすすめします。万が一の事故の際にも、けがのリスクを最小限に抑えることができます。

緊急時対応設備を設置する

一人で入浴される方の安全を確保するため、緊急時対応設備の設置も検討しましょう。

浴室発信機の重要性

浴室発信機は、お風呂場に設置できる通報装置です。一人で入浴できるけれど心配という場合には、万一のときの備えとして非常に有効です。

転倒や急な体調不良の際に、簡単な操作で家族や介護者に知らせることができるため、安心感が大きく向上します。特に高齢者の方や持病をお持ちの方には、ぜひ検討していただきたい設備ですね。

バリアフリーリフォームの費用相場

お風呂のバリアフリーリフォームの費用は、工事内容によって大きく異なります。参考までに、実際の施工事例をご紹介します。費用相場は、浴槽のタイプによって大きく異なります。必ず施工業者に確認してくださいね。
部分的なリフォーム

工事内容費用目安工期
浴室床の滑り止め材設置10万円程度1日
床材+浴槽交換25万円程度1日

総合的なリフォーム

一戸建て(築26年)で手すり設置、断熱材追加、総合的なバリアフリー化を行った事例では、約139万円の費用で7日間の工期でした。

この事例では、ケアマネージャーとも相談しながら最適な位置に手すりを設置し、浴室のほか廊下にも手すりを設置して、安心して室内を移動できるように配慮されています。

補助金制度の活用

介護認定を受けている方が住宅改修を必要とする場合は、介護保険の補助金制度が利用できます。サービスを受けられる人や住宅改修の種類には要件がありますので、事前に確認することをおすすめします。

リフォーム時の注意点

バリアフリーリフォームを成功させるためには、以下の点に注意が必要です。

設計の制約について

ユニットバスの場合、あらかじめ部品を工場で製造し、現場では組み立てるだけのため、穴開けの位置や寸法などの細かい調整は基本的にできません。

浴室発信機やバスリフトの設置などのために柔軟に設計してほしい場合は、見積もりの時点で相談しておくことが重要です。

施工期間中の対応

工事の内容にもよりますが、お風呂のリフォーム期間中は2〜3日程度自宅の浴室を使用できません。近所の銭湯の場所や知り合いのお風呂を借りられるかどうかなど、代わりの入浴手段を事前に確認しておきましょう。

防水処理の重要性

手すりの後付けをする時は、水漏れや浴室基礎の腐食が工事後に発生しないように防水処理を検討する必要があります。また、手すりが浴槽の中から手が届く位置にあるか、滑りにくい素材を選んでいるかなどの点も、取り付け工事が始まる前に必ず確認しましょう。

プロからのアドバイス

長年リフォーム業界で仕事をしてきて感じるのは、バリアフリーリフォームは「いつかやろう」ではなく、「今のうちに」という考え方が大切だということです。

実際に不便を感じてからリフォームするよりも、元気なうちに将来を見据えて準備しておくことで、より良い選択ができるんですね。また、家族みんなで話し合い、それぞれのニーズを理解することも重要です。

私たちリフォームのオオツキでは、お客様一人ひとりの生活スタイルや将来のことを考慮して、最適なプランをご提案させていただいています。バリアフリーリフォームは決して高齢者だけのものではなく、すべての世代にとって快適で安全な住環境を作る取り組みだと考えています。

まとめ

お風呂のバリアフリーリフォームで失敗しないための7つのポイントをご紹介しました。出入口の段差解消、手すりの設置、滑りにくい床材選び、浴槽の高さ調整、浴室暖房機の設置、扉の改善、緊急時対応設備の設置、これらすべてが安全で快適な浴室を実現するために重要な要素です。

費用は工事内容によって大きく異なりますが、部分的なリフォームから始めることも可能です。大切なのは、現在の状況と将来のニーズを見据えて、適切な計画を立てることですね。

バリアフリーリフォームを検討されている方は、ぜひ信頼できるリフォーム会社に相談してください。専門家の視点から、お客様にとって最適なプランをご提案いたします。安全で快適なお風呂で、毎日の入浴を心から楽しんでいただけるよう、私たちがお手伝いさせていただきます♪

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